2020年大学入試への対応は?~詰め込み教育はなぜ存在したのか(その1)

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2020年大学入試への対応は?~詰め込み教育はなぜ存在したのか(その1)

 

2020年大学入試への対応についての第一弾です。

 

 

 

大学入試制度変革を迎えるにあたり、まず、対極ともいえる「詰め込み教育」について触れたい。

 

一般的に、「詰め込み」という言葉は、マイナスの意味でつかわれる。

 

・マニュアル主義

・型にはまった人間を育て、その結果、没個性化を招く。

「教育七五三」と言われた時代、詰め込みのせいで、高校で7割・中学で5割・小学校で3割が落ちこぼれを生み出した。   

 

など。

 

 

しかし、本当に「詰め込みが不要」なのか――詰め込みが必要な時もある、と個人的には考える。

 

というか、指導的な立場(親・先輩・上司・兄姉)の人ならば、何気なく「詰め込み」をしているのではないであろうか。

 

今回、「詰め込み」が、実は有益なケースがあることを、お伝えしていきたい。

 

【詰め込みが必要な理由】

 

主な理由は2つあると考える。

(1)あとから理由を知るほうがいい場合

(2)詰め込みこそが、創造的アイディアの源泉

 

今回は(1)について触れていく。

 

 

(1)あとから理由を知るほうがいい場合

詰め込みの対極に「なぜ」がある。

「なぜ」は面白い。基本的に”意外”な事柄がくるから。

 

「なぜ海は青いのか」

「なぜ死海は内陸にもかかわらず塩分を含んでいるのか」

「雪の結晶はなぜ六角形なのか」

 

これらの理由は面白く、興味関心がわき学問の動機づけとなる。

だから「興味関心がわき→探求心が生まれる」という流れは至極当然であろう。

 

しかし、現実世界を見てみると、必ずしもそうなっているとは限らない。理由をあえて明確にしないほうがよいこともあるのではないか。

 

 

例えば、性教育。

「赤ちゃんはどうして生まれるのか」→「こうのとりが運んでくる」

例えば、サッカーを知らない人の謎、「オフサイド」

「”オフサイド”の説明は何度聞いてもわからない」→「FWの人がちょっとズルした」

例えば、ネットデバイス

「携帯はどう動いているのか」→「アプリなどが使えて便利。深く考えないほうがいい」

 

このように、初心者の人に対して、込み入った説明をしないほうがいい場合は存在する。

もちろん、「なぜ」を知れば、興味関心がわく可能性もある。しかし、状況によっては、説明したことでかえって関心が失せることだってある。

 

だから、そんなときは、詰め込みで”そういうもんだよ”としておく必要もある。あとでわかることがあってもいい。

 

 

 

ここは、教育のブログなので、勉強のケースも触れておく。

 

【算数・数学】

・九九の暗記

→算数・数学の問題を解くとき、掛け算で手間取る時間がもったいない。

・台形の面積の公式

→ゆとり教育でなくなった公式。”台形は2つの三角形の組み合わせ”であることがわかればいいので、なくなった。しかし、難問は台形の面積を利用する問題。つまり、台形の面積は途中過程で必要なだけで、わざわざ時間をかけて考えるところではない。

・分数の割り算

→「割る数(右)を逆数にして掛け算にする」

・2次関数の平方完成

→「すべての2次関数の位置を調べるとき、平方完成することで、基本形のy=ax²が、横(x軸)・縦(y軸)にどのくらい平行移動したか調べる。だからあの形に変形する。」

 

などなど。

 

特に、小学校の算数は、中高で学ぶ数学の基礎(道具)を習得する場。計算処理方法を淡々と学ぶ。だから、面白い授業をするほうが難しいと思う。

(なお、分数の割り算は、”割る数を1にする”という式変形。高校生あたりでは、多少は必要だと思う。だが、ほとんどの場合は、割り算は問題を解く途中過程でしかない。)

 

 

数学の専門家ではないので、不適切な表現があるかもしれない。ただ、素人ながらに、暗記したほうがいいことがあるのもなんとなくわかる。

 

 

【英語】

・形式主語の構文→It is 形容詞 to do/that節

 

この構文の説明として、「主語が長くなるからこの構文が生まれた」というのがある。実際に、日本語で考えるとそうなるので、”なるほどね”と思う説明かもしれない。

しかし、これで点数がとれるかどうかといえば「?」である。

 

なぜならば、主語が長いかどうかを気にしている生徒は少ないから。国語力が落ちているならば尚更。

 

では、できる生徒はどこを見ているか――形容詞で判断している。形式主語で使われる形容詞は限定的。実際問題を解くとeasy,hard,difficult,dangerousなどに限られてくるのが分かる。

 

 

 

一般的に、形容詞を述語でつかう場合(英語でいえば、be動詞+形容詞)、主語が、「単純な名詞(人)」がくる場合と、「~すること」くる2通り。

 

(A) 「うちの猫はかわいい

(B)「この川を泳ぐことは危険だ

 

普通の形容詞は(A)。単純な名詞が主語になる。”かわいい”という形容詞を形式主語では使えない。「泳ぐことはかわいい」という文意は成立しないからだ。

 

反対に、先ほどの形容詞(easy,hard,difficult,dangerous)は(B)。「~すること」が主語になる。

この形容詞でつかわれる主語(名詞)は「~すること」という名詞→長くなるのは必然である。

 

だから、この形容詞をチェックしておけば、形式主語の問題かどうかのヒントになる。勉強のできる子はその規則性を見抜いている。だから間違えない。

 

ただ、中学生はどうしてそうなるかまではわかっていない。(教師はあえて教えない)

詰め込んで、形式主語の処理の仕方を学ぶ。

 

そして、高校生になったとき、形容詞の語法(主語に人がくるOrこない)で、その理由を知る。

 

 

中学の段階で、形式主語とその理由を同時に教えても、混乱する可能性が高い。ならば、先に詰め込んでなれさせてから、「実はこうだったんだよ」とあとで言ってあげればいい。

 

 

確かに「なぜ」を教えることは大切。勉強の面白さの源泉である。

しかし、状況によっては、あだとなることもある。

 

だから、体系的に物事を理解している人間が教えるのであれば、「詰め込み」も悪くはない

生徒や課題よって使い分けていけばいいだけではないか。勉強の真のゴールは自ら考え行動することだから。

 

(次回)

(2)の「詰め込みこそが、創造的アイディアの源泉」に続く。

 

連絡先  Medicus  担当 伊藤
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03-3401-5281 *営業時間 平日9時~17時

 

 

 

 

 

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